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カミカゼ短編集

第1章 「翔くん。絵、見に来る?」     …O×S

「…あのさ」

少しだけ身を起こして智くんに向き合う

「確認なんだけど」

「ん?」

こっちは真面目な顔してんのに

智くんはフニャフニャ笑ったままだ


「『好きって言ってくんない』と言ってたけども」

「うん」

「俺がアンタを好きだと思ってんの?」

「違うの?」

…いや、違わないけども!

なんでそんなに自信満々に言うのかな!


「…因みにさ、これも確認なんだけど」

「うん」

「まるで自分は俺に『好き』って言ってるかの様な口ぶりだったよね?」

「え、言ってるじゃん俺」

「言ってねーよ!!」

聞いてねー!

金輪際聞いたことねーし!


「え~、言ったよぅ」

「いつ!?」

「いつ、って…。今日も」

「嘘だっ!ぜっってー言ってねー!」

「…え……?アレ?…思っただけだったっけ?」

…すっトボけた発言に眩暈がしそうだ


「まー、いいじゃん。付き合ってんだから分かる事だし」

「…はい?」


ツキアッテル?

今、『付き合ってる』って言いました?この人


「俺ら付き合ってんの!?」

「えっ!?」

俺の言葉に、今度は智くんがビックリした顔をした


「翔くん何言ってんの?」

「え、…いや、それは俺のセリフ…」

「え、俺のこと遊びだった?」

「なんでそうなる!」


えーっと…

つまり

曖昧な関係だと思ってたのは俺だけで

『いつもの事』と流されてたのも俺だけで

行為の意味を掴めてなかったのも俺だけで

実は両想いで

智くんはちゃんと分かってて

…なんだ

何も悩むことなんてないじゃん


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