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キョウダイ

第18章 育ての親






ワインを飲みながら、前菜をつついてるお父さんの顔を見つめる。


信じられない思いで前菜を食べる。


香住。


あたしのママ。


似ているって言っても親子だし、あたしは本人じゃないのに。


「お父さんとお母さんが離婚したのって……」


あたしのせい……?


静かに首を振る。


その視線が優しく甘く輝くけど。


落ち着かない気分になる。


胸がざわつく。


「香住のデザインを世に出すからって、必死で頑張ってたのは分かる。
香住の分まで葵を幸せにするとは言っておきながらも、母らしく葵に優しくする暇を作ってやれてなかった。
俺だってそうだった。
擦れ違いが多かったからね」


「でもあたしは寂しくなんかなかったよ?
だってあたしにはキョウダイがいたから……」


「血が繋がってないがな」


息を呑み込む。


ガラス張りの窓の向こうにある夜景に目をやる。


「あいつらに何かされてないか?
年頃の男共だ。
それが心配だからお前を連れて行きたかった。
これから先でも、必要なら葵の為の家を用意してやるから、いつでも言ってくれ」


あたしは誤魔化すように笑う。


「大丈夫だよ、お父さん」


前菜を食べる。


味がよく分からない。


ふっと笑う気配に顔を上げる。


「やっぱりまだ子供だな……。
顔を見れば分かるよ、あいつらの相手をするのは辛かろうに……」


全てを見透かすような視線にギクリとする。


嫌だ。


帰りたい。


何故だか分からない。


居心地が悪い。


気まづい思いを抱えたまま。


ぎこちなく話をして食事をした。

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