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私はただ生徒に愛される先生になりたかっただけ

第8章 本格化する先生潰し


私は教室に入る。

上から濡れて重くなった

雑巾と授業の度に集められた

昨日のチョークの粉が

落ちてくる。

たまに、友人を辿って

他のクラスの

チョークの粉を持ってきたりも

しているみたいだ。

今日は4日目。

もう起こる気力なんて、

感情さえ持てない。

無感情な顔で

後処理を済ます。

生徒たちのつまらなさそうな

顔。

なのにこんな生徒たちも

他の教科担任の先生からの

評判はいい。

今の私はそれさえ

喜べない。

ただ造り笑顔で

有り難う御座います

と一言

社交辞令。

さっさとH.R.を終わらせ

教室を飛び出す。

かといって、親しい先生仲間

なんていない。

職員室だって、気を使わねば

ならない窮屈な場所。

教室を飛び出したって

居場所なんて

なかった。

そう、今までは

教室が居場所だったんだ。


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