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電脳地獄

第1章 1

どれくらいの時間が経っただろう。Aは両手両足を失っていた。
天井に張られた鏡にうつる、自身の姿にAは絶望の叫びをあげ、同時に視界が暗転し、Aの意識が薄れていく。
Aが目が覚めると、先ほどと同じカプセルの中に浮いていた。
手足もちゃんとついている。
(夢だったのか)、と思い、(いや、あの痛みは間違いなく本物だった)、と首を振る。
しかし、手足を失った絶望感と恐怖から開放されたAは、安堵につつまれ再び眠りに落ちていく。
どれくらいたったのだろうか。目覚めたAの前に広がるのはまたもや白い拷問部屋であった。
、、、こんなことが毎日繰り返されている。
毎日恐ろしい拷問をうけ、身体をぼろぼろに破壊されるが、しばらくするとこのカプセルに戻り、破損された肉体も元に戻っている。
こま切れになった精神でAは思った。これは、察するに、バーチャルリアリティのようなものなのだろう。
Aの本当の肉体は大切にこのカプセルに保管され栄養を与え続けられる。
一方で、Aの精神は毎日拷問により痛めつけられ殺される。
リセットされれば初期状態にもどるため、死ぬことも許されずこの地獄が延々とつづくのだ
(なんのために、、、?)発狂寸前の頭でAは考えた。おそらくこれは何かの実験なのではないだろうか。
ヒトの精神はどこまで耐えられるのか、といったようなイカれた実験。いやもしくはショーなのかもしれない。僕は朦朧とした頭で考え続ける。
電脳世界で拷問を受ける。これが今のAの毎日だ。
一緒につかまった友人に助けられ、辛くも脱出する。
友人に肩を支えられ、外界への扉を開く。まぶしい光。
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