君が書く手紙
第2章 ドナーを探して
「え?」
私のスカートの裾を引っ張ったのは小さな女の子だった。
目のくりくりしたかわいい女の子。
「どちらさま?」
その女の子の後ろに、綺麗な女の人が立っていた。
「あ、あの!私・・・」
「・・・もしかしてあなた、坂口麻里さん?」
その人はそっと私に訊ねた。
「あ、その・・・はい」
「そう。あなたが・・・」
少し目を伏せると、女の人は視線を私に戻して、それから笑った。
「遠いところ、来てくれてどうもありがとう。さあ、あがってお茶でも飲んでいって?」
「あ、ありがとうございます」
あたふたする私の手を引いて、女の人は玄関をくぐった。
その手は温かくて、少しざらざらしていた。