君が書く手紙
第2章 ドナーを探して
静寂が広がる和室に通されて、私はゆっくりと座布団に腰をおろした。
しばらく一人でじっとしていると、外で会った女の子が私を見つめていた。
「あの、お名前・・なんていうの?」
「えーちゃん」
「え?えーちゃん?」
女の子はそれだけ言うとささーっと別な部屋に移動してしまった。
えーちゃん・・・。
結局名前分からなかった・・。
女の子の消えていったほうをぼうっと眺めていると、襖がすっと開いた。
「お待たせしてごめんなさいね。お茶です」
「あ、いえ、ありがとうございます」
差し出されたお茶を眺めてお礼を言うと、女の人は私と向かい合って座った。
「坂口麻里ちゃん、よね?今日はどういったご用件で?」
「あ、あの!私・・・私なんかのためにご家族の方の心臓を譲ってくださってありがとうございました」
いざとなると動揺して、口早にそんなことを言う。
女の人はふっと一つ息をつくとお茶を一口飲んで口を開いた。