君が書く手紙
第1章 新しい私
小さい頃から、私は心臓が弱かった。
運動はダメ。
糖分の摂取もダメ。
何をするにも制限が厳しくて、好奇心旺盛なやんちゃな私の性格には全くと言っていいほど不似合な病気だった。
みんなは【心臓移植】って知ってるかな?
他の人の元気な心臓を代わりにもらって、元気な身体に生まれ変わる手術。
だけどその移植提供はとっても貴重で、順番を待たなくちゃいけない。
私はもう、何年も待った。
何年も、何年も。
今日は、そんな待ちに待った心臓移植手術の日。
患者さんの中には移植が怖いっていう人もいる。
失敗する確率だって低くはないから。
だけどね、私は逆。
とってもとっても、ドキドキしてる。
まるで発作の時みたい。
楽しみで、嬉しくってしょうがないの。
だって、成功すれば普通の子になれるんだよ?
はちゃめちゃにはしゃいだり、
美味しいものをおなかいっぱい食べたり、
叶えたい夢だって追いかけられる。
こんな素敵なことってないじゃない?
私は楽しみでしかたないのよ。