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君が書く手紙

第1章 新しい私




トクン、トクン、トクン、



胸の鼓動がゆっくりと響いた。



ああ、これが私の新しい心臓。


前の弱々しい心臓は、いったいどこへ消えたんだろう。



この心臓をくれた人は、どんな人だったんだろう。



感動が湧き上がり、少し目に涙を浮かべた。



「麻里を元気にしてくださった方に感謝をして生きていかなければいけないね」



お母さんはそういうと、紙袋の中から小さな花束を取り出した。



「20歳の誕生日、おめでとう。麻里」



お母さんの言葉に、私は目を時計へと向けた。



日付が変わった、今日。



今日は私の誕生日。



20回目の、おめでとう。



お母さんから花束を受け取ると、私はにこっと笑って見せた。



これは、


この心臓は、



20歳になった私へのプレゼント。



神様が与えてくれたプレゼント。



どんなに高級な宝石や、ブランドの服やバッグだって、


このプレゼントには敵わない。



これは、どんなものよりもずっとずっと高価で貴重なプレゼント。



だって、これからはずっと元気でいられるんだよ。


もう、あとどれくらいなんて余命の計算しなくて済むんだもの。



私が一番願っていたこと。



これから先も、ずっと元気で。




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