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僕と私の、再初恋。

第3章 カコノキオク1

あの日以降。
隆明はというと、もう1人の女の子に毎度のごとく水をかけらて、さすがに傷ついたらしく、すごく大人しくなっている。おかけで、仕事も押しつけられずに済んでいるし。良い薬になったろ。
「おい隆明。今晩居酒屋行かね?」
何の気なしに誘ってみると、
「いや、いい…」
隆明の声がすごく低かった。思ったよりダメージがデカイらしい。さすがに…ま、いっか。
僕はそのまま帰宅路につく。
そして、なんとなくいつも寄るコンビニとは違うコンビニに寄って買い物するかーと思い、店の中に入って、レジに立つと、
「あっ…」
と驚かれた。なんだよと顔を上げるとそこには、あの時の女の子がレジ打ちをしていた。
「あ、どうも」
ちょこんと頭下げて、お金払って、さぁ帰ろうとしたとき、
「あの…!」
と呼び止められた。
「あの、バイトもう終わるんで待ってて下さい!」
「え?なんで?」
もっともな事を言ったと思う。なぜ待たないといけないんだ?意味がわからない。でも、その女の子は、
「いいから待ってて下さい!」
と、言い放って、そのまま店の奥に入ってしまった。
さすがに…このまま帰るのはあまりに非情な人間なので、待っててあげることにする。

待つこと5分。
女の子が出てきた。白いワンピース。少し、ドキッとする。可愛いじゃんか。そう思った。
「お待たせしました!」
「別にそんな待ってないよ」
「えー、そうですか?ま、でも、稜さんが言うなら、そういうことにしておきます。えっと…」
高橋さんが口ごもる。
「どうした?」
「いや、あの…ちょっと歩きませんか?」
高橋さんが俯きながら、おずおずと口を開く。
「え?まぁ、いいけど…」
そして、そのまま目的もなく歩き始める。
「あのさ、高橋さんさ…」
「遥香でいいです!」
大きい声で言うもんだから、周りの通行人が僕たちを、正確に言えば僕を見る。
「遥香で、いいです。遥香って呼んでください…」
どんどん声が小さくなっていく。恥ずかっとのだろうけど。でも、なんだろう、話そうとしたこと。
「遥香さん、で、何か用だった?」
「稜さん。この前言ってたこと。少しでもいいから教えてください!お願いします!」
「この前言ってたこと?なんだっけ?」
覚えていなかった。なんか言ったっけ?
「人を好きにならないって…あれ」
「関係ない。遥香さんに話すことは何もないし、話す理由がないよ?」

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