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僕と私の、再初恋。

第3章 カコノキオク1

「そう…ですか…」
冴えない顔をしている遥香。もしかしたら気づいたのかもしれない。でも、やっぱり。

言う必要なんかない。

2人が黙ってしまい、少し空気が重く感じられた時、携帯がなった。
慌てて取り出すが、僕のじゃなかった。
「あ、私…?」
携帯を慌てて取り出す遥香。話している合間に、僕は少し考える。
悩みとかあったら普通に話せばいいじゃないか。
たったそれだけのこと。なんも問題もない。
しかし、肝心なことが。
あの真美の発言以降、僕は女の子を信用することができなくなってしまっている。これが男子だったら、問題なく話せただろう。

……本当に?

…僕はどれだけの人を信じている?
…そう。僕は、誰も信用してはいなかった。
あの日以来。
男子も、女子も。僕は、殻の中に閉じこもっていた。

傷つきたくないから。裏切られたくないから。だから。
誰一人も信用してなどいないんだ。

「…あの!」
声を掛けられてハッと我にかえる。
「あの、私、これからクラスメイトの子と会う約束あるんで…」
「クラスメイト?君学生だったの?」
「はい。私、集成館の2年なんです。すいません!また今度!」
「あ、うん。気をつけてね」
だっと駈け出す遥香。そして、すぐに戻ってきた。
「あの、番号教えてください」
へ?なんで?素直に思った。なんでこの子に番号教えないといけないんだ?
すると、携帯を奪われてしまった。
「私、連絡します。絶対出てください。仕事中には電話はしませんから。では、失礼します!」
携帯を丁寧に返してくれて、そしてそのままお辞儀して走って行ってしまった。
集成館。国立集成館大学。僕が通っていた、そして辞めてしまった大学だ。
あの日の件以来、僕は学校に行かず、ついには退学までした。なにもそこまでする必要なかろうと思うだろうけれど、正直、誰とも会いたくなかった。
まさか、あの集成館にあの子が行ってるなんて。
ま、いっか。どうでもいい。興味ないし。
そして、僕はそのままの足で、家に帰った。

そして。
この後。
僕の中の歯車が回りだす−。
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