
刑事とBG
第1章 刑事とBG~前編~
「死んでる…」
まさか…依頼人が殺されてしまうだなんて…
祐司は団蔵に手を伸ばそうとした。
「触んな」
その声で、後ろを振り返る。
入口に立っていたのは、受付で目が合った男…斉藤だった。
「一般人は入らないで下さい」
祐司は出て行くよう促したが、斉藤はお構いなしに部屋に入ってきた。
「ちょっ…」
「オレは"こっち"専門なもんで」
斉藤が懐から取り出したものは、刑事手帳だった。
「刑事?」
「そういうこった、まあボディーガードは下がっとけ」
斉藤のこの態度に、祐司は少し苛立ちを覚えた。
「…刑事ですか。でもこの家の警備を任されたのは俺らですから」
「はあ?
警備してたくせにじいさん死なせてんじゃねぇよ」
「あなたはあくまで招待客だ。部屋から出てください」
「んだとてめぇ…!!」
二人の間に火花が飛び散り、斉藤は今にも手が出そうな状態だった。
祐司も面には出してなかったが、戦闘体勢はばっちり取っていた。
幸か不幸か、廊下から声が聞こえてきた。
『斉藤ー、何やってんのよお!?』
「祐司!! 何があったんだ!?」
ドカッ
左右から走ってきたゆうひと護は、入口の前で正面衝突した。
「いってぇ~」
『痛ぁ…』
二人は床の上でこけたまま打撲箇所をさすった。
祐司は颯爽とゆうひにかけ寄り、ゆうひの手を取り立たせる。
「大丈夫ですか?」
『え、あ…はい///』
自分が出遅れたことに気がつき、斉藤は急いでゆうひを祐司から引き離した。
「さ、触んじゃねぇよ、キザ野郎!!
下心見え見えなんだよ!!」
「…」
もちろん祐司に下心なんてかけらはない、
よかれと思って取った行動だ。
『斉藤!! あんた超失礼なんだから!!』
ゆうひに叱られ、首を引っ込める斉藤。
「だってこいつ…」
『言い訳しない!!』
「…(尻に敷かれてんだな…)」
