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琥珀荘の奇妙な住人達

第4章 琥珀荘_日常編<渚×真冬>

天気の良い午後の昼下がり。俺は、共用リビングでソファに腰掛けながらテレビを見ていた。
そして横に居るのは、違和感がある耳と、ふさふさの尻尾を付けた渚。
葵さんから聞いた話によれば、みんなは人間から昔、人外と呼ばれていた者達の末裔らしい。そして、葵さんは雪男、駿さんは猫又、悠真さんは悪魔、雅は人形、渚は狼男らしい。
それにしても、改めて思う。

(これを普通に受け入れれる俺ってヤバい気がする。…うん。)

いや、差別とかはよくないのは分かってるよ?!んでも、ぶっ飛び過ぎなんだよ!!はいそうですか、で片付くような事じゃねぇんだよ!!?

(うー…ここって現実だよな…?間違っても俺、二次元とかに来た訳じゃねぇよな…?)

「おい、何で百面相してんだよ?ww」

気がつけば渚が俺に顔を近づけてじっ、とこちらを覗き込んでいた。…てか

「近い?!///」

何故だか一気に頬に熱を感じる。俺は急いで目を逸らす。何故なら顔と顔の距離、約5cm。

「…ん?何だよ、頬赤くして。何々?もしかして俺の事意識しちゃってる系?」

ニヤニヤとしながら俺を見つめてくる渚。

(馬鹿野郎。男が男を意識する訳あるか。)

(これは、あれだ。驚きの時に現れる人間、いや、俺特有の生理反応だコノヤロー。)

「意識してない離れろ!!」

顔を逸らしながら相手を押すと、相手は後ろへとよろめき俺から離れる。

「っと……ははっ、冗談に決まってんだろ?」

「冗談でもしないでください。」

「顔が怖いよー?」

(へらへらと笑う渚を見ると無性にイラつくな…)

「……てんめっ」

俺の青筋がピクピクと打ち出し、ちょっとキレそうになったのを渚の一言が沈めた。

「それはそうとさ、君って本当は何者なのかな?」

口では笑っていたが、目は笑っていなかった。

「なんのこと…ですか?」

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