Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第2章 悪いお知らせと気持ち。
~Takanori Side~
歩風と一緒に、歩風の兄である爽風君(さやか)がいる高校を目指してきた。
だけど、ある日家に帰った時に告げられた。
その日は、いつもは無言のはずの家から話し声が聞こえた。
「誰かいるのか?」
そう言ってリビングに足を踏み入れると、困ったような表情をしている母親と今にも怒鳴り出しそうな顔をした父親がいた。
「何で…。 どうして母さんがいるの? 仕事はどうしたの?」
「剛典…。 私、今日は午前だけだったのよ」
「…じゃあ、父さんは?」
怪訝そうに聞く俺に対し、母親は困ったように「休みを取ったみたい」とだけ言った。
「…で、何? 父さんが帰ってきたという事は、俺に何か話があるって事だろ? 用事があるなら早く済ませてくれない?」
この時の俺は、まともに家にも帰ってこずに、家庭を顧みない父親を毛嫌いしていた。 家の中で信頼できるのは、母さんだけだと…、そう思っていた。
「剛典、高校からたくさんの推薦が来ていたみたいだな」
「だから何? 俺、進みたい高校はもう決めてあるけど」
「…推薦状を見て、俺が良いなと思った高校だ。 お前はここに行け」
父親にそう言われ、その高校のパンフレットを渡された。