Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第4章 卒業式と、初恋。
歩風の家を出ると、さっきと同じ風が吹いてきた。
「…春らしいね」
「うん」
それだけ言うと、歩き始めた。
何故か、こんな日に限ってお互い無言…。
少しでも話したいのに、言葉が出て来ない。
…何か言おうとしている内に、学校に着いてしまった。
「着いちゃったね…」
「そうだね…」
「教室、行こっか」
「うん」
また無言になり、教室に行った。
歩風がドアを開けると、いつも通りの騒がしいクラス。
「おー、剛典じゃん! …あ、歩風さんも一緒?」
「おはよう」
「うーっす」
…もう最後の日だっていうのに、歩風へのさん付けは直らないのか…。
「あ、これ。 制服に付ける花ね。 歩風さんにも渡して」
「ああ」
造花を受け取ると、いつの間にか女子の集団に囲まれている歩風に渡した。
「それ、付けとけよ」
「分かった」
それだけ会話をすると、後は男子とふざけていた。
…それから少しして先生が来て、廊下に並んで、体育館に入った。
それからは、あっという間で…。 気が付くと、教室に戻っていた。