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Spring Blind ~風の中、歩き出す~

第4章 卒業式と、初恋。


席に着くと、歩風が泣くのを我慢しているのが見えた。
「…涙、拭けよ」
そう言って、自分のハンカチを差し出した。
「…ありがと…」
歩風が涙を拭いていると、先生が大きな段ボールを抱えて戻ってきた。

「今から卒アル渡すぞー。 後ろの方にスペースがあるから、好きな奴に書いて貰えよー」
そう言って、渡し始めた。 全員に行き届いたことを確認すると、「15分やるから、好きにしろー」と言って、座って寝ようとしていた。
その途端に、今まで静かだった教室が一気に騒がしくなった。

俺の所に集まってくるクラスメート。 そんな様子を笑顔で見ている歩風。
そんな歩風に自分のアルバムを渡し、「書いて?」というと、無言で頷き、カラーペンでサラサラと書いていた。

俺は迫ってくるクラスメートにメッセージを書きながら歩風の様子を伺ってみると、女子数人に「書いてくれない?」と聞かれている所だった。 
それに笑顔で頷き、俺のを一旦置いて書き始めた。 
その子達に書き終えると、俺のに何かを書き足し、返してきた。 
それを受け取ると、他にも仲の良かった人達に回し、書いて貰った。 

…俺の周りも落ち着きを見せ始めると、歩風も「書いてくれない?」と渡してきた。 
「勿論」と言ってアルバムを借りると、さっと書いた。 
…この時、何で素直に早く書けたのかは分からないけど。

先生が「終わりー。」という頃には、ほとんどの人が着席していた。

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