Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第4章 卒業式と、初恋。
「携帯でも撮るよー。」
彼女がそういいながら、画面をこっちに向けた。
「…えっ?」
「内カメラ」
「ああ…」
吃驚した…。
「あ、入んない。 剛典、もっと近付いて」
そう言って、俺を自分の方に引き寄せた。
…近っ! てか当たってるし…!
「撮るよー! はい、チーズ!」
その写真は、画面いっぱいに笑顔の俺達が写っていた。
…俺の顔が赤い気がしなくもないような…。
「この写真、いる? いるならメールするけど」
「欲しい!」
「はーい」
…いつも通りの歩風。
今、俺の気持ちを伝えたら、君はどんな反応をする…?
少し怖いけど、勇気出すよ。
どんな反応を見せたとしても、君の事が好きだから…。
「歩風」
「ん?」
携帯から目を逸らし、俺をまっすぐ見た。
「あのさ…」
「うん」
「俺ね…。 ずっと、歩風の事が好きだった」
大きい目を見開き、さらに大きくさせる歩風。
その瞳からは、涙が零れた。
「…そい…」
「えっ?」
「遅いよ、バカ…!」
そう言って、静かに泣き出した。
「えっ、えっ?」
どうしていいか分からずにあたふたしていた俺に、歩風はそっと抱きついた。
「歩風…?」
「私だって…。 ずっと剛典の事が好きだった」
嗚咽交じりに言った彼女。