Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第5章 俺と、大きくなった君の存在。
「2人共、成長したよな。 …岩ちゃん、お前更にイケメンになったな…」
「そんな事ないですよ」
そう笑うと、「イケメンは良いよな、モテるもん」とニヤッとしながら言ってきた。
「能瀬も美人になったな」
「私だって成長しましたよ。 …先生は老けました?」
希緒…。 こいつはいつも一言余計な…。
「ハハハっ、お前は相変わらずだな。 確かに俺も老けたわ~。 だってあれから5年も経ってるんだからな」
そう楽しそうに笑う先生。
…5年、か。
「そういえば、何でさっきそわそわしてたんですか?」
そう希緒が聞くと、「ああ…」と思い出した様に言い、「お前らになら話しても良いかな」と言った。
「私達…ですか?」
「ああ。 実はな、歩風が来るはずなんだよ」
「えっ…」
先生から歩風の名前を聞き、驚いた。
「あゆ、ですか…?」
「うん。 お前ら歩風と仲良かっただろ? だから話しても良いかな、って思った」
そういう先生は、懐かしい優しい笑顔になっていた。
「歩ちゃんがどうかしたの~?」
…そう言って、呑気に柚が来た。
「おお、柚っち。 久し振りだな~」
「久し振りっす!」
…ずっと思ってたんだけど、何で「柚っち」なんだろう…?