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Spring Blind ~風の中、歩き出す~

第5章 俺と、大きくなった君の存在。


「皆さん、こんにちは! 突然すみません。 歌手の典風と言います。 今日は、皆さんの成人をお祝いするために駆けつけてしまいました!」

典風…。 …いや、歩風…。
歌手として、ここに来たんだ…。

「お祝いと言っても、私には歌を歌う事しかできません。 なので、皆さんにこの曲を届けさせて頂きたいと思います。 …聞いて下さい、『Dream』」

イントロが流れ、ザワザワと騒がしかった周りも一気に静かになった。
…そして、彼女が歌い始めた途端、懐かしい感じが一気に押し寄せてきた。

…そして、歌詞を聞いて驚いた。
だってそれは、中学生の時に歩風と遊んでいた時、突然「思い付いた!」と言って書いていたものだったから。
自分でも、よく覚えているなぁ、なんて思うけど、それだけ歩風の事が好きだったし、ずっと隣で見ていたから。

…そんな曲をここで歌うなんて、まるで「私に気付いて」とでも言っているみたいで…。

…歩風。 俺は気付いてるよ。
髪を短くしても、染めても。
どんなに見た目が変わったって、中身とその歌声は全然変わってないじゃん。

約束を守ってくれる所とか、笑顔で…でも真面目に自分の仕事をこなす所とか、全然変わってないよ。

こんな事言ったらあれだけど、歩風の全て、まだ大好きなんだ…。

だから、お願い…。
俺に気付いて…!

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