Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第5章 俺と、大きくなった君の存在。
そう彼女が言ってもう一度礼をすると、また沢山の拍手が響いた。
「そして、この後は私もこちらの同窓会に参加させて頂きます! …久し振りに会いたい人、見つけたので」
彼女はそう言うと、マイクを置いてステージを降り、一旦会場から出た。
「え、典風ってこの学校出身!?」
とか、
「でも、そんな名前の人…」
とか、
「あんなに美人で歌が上手い人って居たかな…?」
って言っているのが聞こえてくる辺り、皆彼女の正体に気が付いて居ないのだろうと思う。
…まあ、俺以外にも気付いている奴らは居るけど。
暫くして、振り袖に着替えた彼女がそっと入ってきた。
周りを見てみると、彼女の正体特定に昔を思い出している人ばかりで…。 少し笑ってしまった。
そんな時、軽く肩を叩かれた。
振り向くと…、あの頃と変わらない笑顔で俺を見る、俺が1番会いたかった人が立っていた。
「剛典…、久し振り。 元気だった?」
「歩風…!」
思わず、彼女を抱き締めた。
「ふふっ、相変わらずだね。ずっと会いたかったよ」
そう言って、俺の背中に腕を回した。
「俺だって、歩風にずっと会いたかった!」
そう言うと、俺から体を話して微笑む。
「良かった。 そう思ってたの私だけじゃなくて」