Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第5章 俺と、大きくなった君の存在。
「お前の事だから忘れてたんじゃねえの、とでも言いたい?」
「まあね。 …でも、信じてたから」
「…有難う」
そう言って、彼女の額に軽くキスを落とした。
「こちらこそ、私の事覚えててくれて有難う」
「大切な人の事、忘れるわけないだろ…?」
「そっか」
そう話していると、「歩ちゃん」と俺の後ろから声が聞こえた。
「えっ…」と戸惑う彼女に、「だーれだ」と目隠しする奴。
そして、そんな様子を見て笑っている奴…。
「もしかして…」と言った歩風の目元から手を離し、顔を覗き込んで微笑む彼女に、顔を輝かせて抱きついていた。
「希緒…! 久し振り、会いたかった!」
「私も会いたかったよ。 …いつの間にか遠い所に行っちゃってるんだから…」
「全然遠くなんてないよ~」
そう言って抱きしめ合っている女の子2人を、更に上から抱き締めたのは…。
「歩ちゃん、2年振り」
「柚ちゃん…?」
「ハハッ、俺女じゃねえよ?」
「うん、知ってる」
…柚だった。
歩風は希緒から離れると、柚と抱擁を交わした。
「歩ちゃん変わってないね」
「柚ちゃんこそ。 …でも、身長は伸びたかな…?」
「高校卒業してからも少しは伸びたよ」
「いいな〜。 …身長変わって」
「え、やだ」