Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第5章 俺と、大きくなった君の存在。
…そして、そんな会もそろそろ終わりに近付いた頃、「カラオケ行かない?」という希緒の提案で行く事にした。
こっそりと会場を抜け出すと、途端に子供に戻ったみたいにはしゃいだ3人。
そして、そのままのテンションで先に行ってしまったあいつらを、歩風は「元気だね」と笑って見ていた。
…2人。
この廊下には今、俺と歩風しか居ない。
今なら…、ずっと溜めてきた想い、歩風に伝えても良いかな…?
「歩風」
そう呼ぶと、前を歩いていた彼女が振り返った。
「ん? どうしたの?」
「あの…さ…」
「うん」
いつもと変わらない笑顔を向けてくれる彼女の瞳を、真っ直ぐ見つめた。
「…俺が中学の卒業式が終わった後に言った事、覚えてる?」
「えっ…。 あ、うん」
恥ずかしそうに顔を赤らめる彼女。
でも、そんな彼女をずっと見つめながら言う事にした。
「あの時、歩風は「ずっと親友で居よう?」って言ってくれたよね。 でも俺…、ずっと歩風の事が好きだった。」
そう言った俺を、彼女は真剣な目で見ていた。
「高校でだって、人並みに彼女が出来た事もある。 だけど、やっぱりお前の事思い出して…。 自分でもカッコ悪い位、お前の事がずっと好きで、諦められなかった…。 どんなに親友に戻ろうとしても、無理だった…」