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Spring Blind ~風の中、歩き出す~

第5章 俺と、大きくなった君の存在。

…こんな過去曝け出すなんてカッコ悪いとは思うけど、全部聞いて欲しかった。

「ずっと俺は…、歩風の事しか見れなかったみたい。 諦めの悪い俺でゴメンな」
そう言うと、彼女は首を横に振った。

「中学の頃も、歩風と会う事が出来なかった5年間も、そして今も…。 ずっと…、ずっと歩風の事が好き。 …こんな俺で良かったら、俺の彼女になってくれませんか?」
俺が長々と話し続けている間、歩風は黙って俺の話を聞いてくれていた。

「…話してくれて、有難う」
歩風の一言目が、それだった。

「こっちこそ、聞いてくれて有難う」
そう言うと、首を横に振った。
「剛典の口から、想いが聞けて嬉しい。 …今度は、私の話を聞いてくれる?」
そう笑顔で言う彼女に、「ああ」と返事をすると、彼女も話し始めた。

「私の将来の夢、お兄ちゃんやパパやママに話す前に話したのが、剛典だった。 それ以外にも、悩みとかも一番最初に話していたのが剛典。 それだけ、私にとって剛典は大切な人なの」
…そんな風に思ってもらえてたんだ…。

「私は剛典との約束通り、剛典の『典』と歩風の『風』を合わせた『典風』って名前で高校卒業と同時にデビューして、夢を叶えた。 その為に、沢山努力もした。 …でもね、その頑張る力の源になっていたのは、私が大好きな剛典だった」
…俺が、歩風が頑張れるきっかけ…?

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