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Spring Blind ~風の中、歩き出す~

第1章 夏の日常。


~Takanori Side~

「…暑い」
歩風と別れて1分、俺はそんな言葉を呟いていた。

歩風といる時は、夏の暑さなんて気にならない位楽しかったのに、別れて一人になった途端、暑さが一気に押し寄せてきた気がした。

…俺の親友、鈴木歩風。 
普段は凄く大人しくて、クールに見られがちな彼女。
だけど、俺と一緒に居る時はいつも元気で明るい。 
ちょっと童顔で、そこをいじると怒られるけど、そこがクラスの男子には人気みたいだ。 
…なんか、「クールビューティー」っていうの? 俺にはよく分からないけど。 

クラスでも歩風と話したりはするけど、やっぱり帰り道に話す時が一番楽しい。
校門を出た途端に笑顔になって、俺との下らないお喋りに付き合ってくれる。
笑った時に出るえくぼや、無邪気に笑う姿を見せてくれたり、時に子猫の様に気まぐれな歩風が、俺は好きだったりする。
…いつかはこの気持ちを伝えたいけど、それがいつになるかはわからない。
俺にまだ勇気がない、というのもあるけど、きっと歩風は俺の事を親友以上には見ていないと思うから。

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