Spring Blind ~風の中、歩き出す~
第2章 悪いお知らせと気持ち。
「あゆに提案があってさ。 聞いてもらってもいい?」
「いいよ…」
お兄ちゃんが、私に提案…?
少し不思議に思いながらも、聞いてみる事にした。
「何?」
「俺と同じ高校に来ないか?」
「…えっ?」
お兄ちゃんの高校は、近県の間でも有名な私立高校。
全寮制で、中々帰ってこられないのに、今日は「話がある」とパパに言われたから戻ってきたらしい。
ちなみに、私も剛典と一緒に進路の一つとして考えていた高校だった。
「うちの高校は寮がついているから、父さんたちに付いて行かなくてもこっちに残れる。 お小遣いとか、他にも必要なものがあれば毎月送ってもらえるし。 あゆの頭なら、ちょっと勉強すれば届くはずの学校だろ? …まあ、決めるのはお前自身だから、俺が口出しする権利はないだろうけどさ。 一応、視野に入れていてほしいと思って」
「うん…」
確かに、お兄ちゃんの高校にすれば、パパに付いて行かなくても生活は安心だ。
もともと受験しようとしていた学校の一つだし、ここに決めても悪くはないかも…。
「…お兄ちゃん。 あゆ、そこ受ける」
そう言うと、お兄ちゃんは笑顔で「じゃあ、父さんに報告だな」と言った。