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旅は続くよ

第11章 前向きじゃない

O「焦ってる?」

N「…いや?そうでもない」

O「フフフッ、だよな~。そんな風に見えねぇもん」

N「…怒んないの?居候のくせに、って」

O「怒んねーよ。居候だなんて思ってねぇし
ま、好きな事書けてんならいいんじゃねぇの?」

N「好きな事なんて書いてない。
…日々思った事とか書きなぐってるだけよ」

O「そっか。ニノは真面目だな~。前向きだ」


…前向き?

自分をそんな風に思った事は1度もない

書いてる文章すら後ろ向きだ

何言ってんの?

アンタにはどうせ分からないよ

普通なら心の中でそう嘲笑ってやり過ごすのに

何となくムキになった


N「…前向きなんかじゃないよ」

O「ん?」

N「俺、後ろ向いてばっかだもん…」

何だか弱音吐いてるみたいな呟き

何言ってんだ、俺

甘えたみたいな事言って…

自分でも呆れる

なのに、ふと隣を見ると

さと兄は俺の次の言葉を待つように優しく微笑んでて

俺はガキみたいな気持ちで俯いて

たどたどしく言葉を紡いだ


N「昔の事思い出すと暗くなって…
その気持ちを吐き出してるだけなんだ
書く事が好きだった筈なのにさ…
俺、こんなんでいいのかなって…」

こんな事言って何になるんだよ

さと兄だって困るに違いないのに…

バカじゃねーの?

吐き出した後の沈黙に後悔して

溜息をつく為に息を吸った時に

ボソリとした声が聞こえた


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