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旅は続くよ

第13章 俺だって

ブラブラ当てもなく歩いてたから

隣町の公園まで来てしまっていた

人影のない、小さな公園

落ち着いて話がしたくて、ベンチに座ると

ニノは渋々俺の横に座った



A「当たり前って…、男だから?」

N「そんなの翔ちゃんも承知の上でしょ」

ふて腐れたようにニノが言う

A「じゃあ、なんで?」

N「なんでって…、俺には恋愛は無理。
アンタだって知ってんじゃん」


また出た

『恋愛は無理』

ニノのお決まりの言葉



小学校の頃はそんなんじゃなかった

ニノは昔からよくモテたし

初恋の子も同じクラスにいたはずだ

でも、ニノはお母さんが亡くなってから…

恋愛を怖がるようになった

女の子に告白されて付き合うようになっても、ただ流されるだけ

『私の事好きじゃないんでしょ。バカにしないでよ!』

そう言って平手打ちされるのを見た事がある


だったら付き合わなきゃいいのに

誰だってそう思うだろ?

でもニノは『好きな人がいないなら付き合ってくれってアッチが言ってきたんだ』なんて

いけしゃあしゃあと言うんだ


結局は寂しがり屋なんだよ

1人でいたいのに1人でいられない

我儘で、悲しくて、

愛おしいヤツ



A「無理でもいつもは断らないじゃん」

N「…翔ちゃんに『付き合って』なんて言われてねーもん。断りようがないでしょ」

A「それでも、いつもなら『ありがと』って返すだけじゃん。変なの」

N「…何よ。いいじゃない、別に」


モヤモヤする

なんか、いつもと違うニノに

翔ちゃんのあの瞳に


A「…もしかして、好きなんじゃないの?翔ちゃんのこと」

苦い思いで口にした台詞

こんな牽制球投げる自分は卑怯だとも思う

好きじゃないって言って欲しくて

有り得ないって言って欲しくて

こんなバカな質問してるんだ、俺は


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