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プリンス×プリンセス

第16章 手間がかかるもの

ディオは口元を上げて小さく笑った。

「先程、奴と踊っていたな」

え!?

見てたのかよ!!

「いや、あれは…」

「見事だったぞ。女性と見間違う程だった」

何だよ、それ。

褒めてるつもりか!?

それとも馬鹿にしてんのか!!

「俺とも踊るか?」

右手を向けられて、ディオを睨み付けた。

「ふざけんな」

「ジュークとは踊ったのに?」

「それは…」

グッと言葉に詰まる。

ディオは知っているんだろうか?

「…あいつ、気付いてやがった」

誰も聞いていないのは分かってるけど、それでも声を潜めて告げる。

「俺が…姉上の代わりをしたのを」

ディオは眉を上げて、小さく頷いた。

「ああ、今日か」

「今日だけじゃない。これで3回目だって!!」

今日と、婚約会見の時と…初対面の時。

「最初から気付いてたんだ」

ディオだけだと思っていたのに。

苦々しい気持ちでいると、ディオは肩をすくめ

「さすがだな」

称賛するような口調で言った。

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