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プリンス×プリンセス

第16章 手間がかかるもの

「何故? 」

「神様の前で、ちゃんと誓い直した方がいいんじゃないか?」

誓いの言葉を唱えたのが替え玉だってのは、後々の事を考えるとまずい気がする。

ディオは薄く笑みを浮かべた。

「お前は信仰が深いのだな」

「そうじゃないけど…」

別に神様を信じてる訳じゃない。

俺が言いたいのは、そういう事じゃなくて…

「ただでさえ俺たち、国民を騙してるんだぞ?」

婚約会見も結婚式も、身代わりが務めてるんだ。

「神様にくらいは、まともに誓った方がいいんじゃないか?」

いまさら国民の前で、結婚式のやり直しなんか出来ないんだから。

「…なるほどな」

俺の思いが通じたのか、ディオは小さく頷くと

「考えておく」

「うん。姉上のためにも、頼む」

「ティアナの?」

「姉上も、誓いたいと思う」

俺の勝手な思いかもしれないけど、姉上だって結婚式をちゃんとしたかったに違いないんだ。

するとディオは、薔薇の葉を指先で摘まんだ。

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