ツインテールの君
第3章 Decoration cake princess
「國佳、さまぁ……やっ、ぱり、すみれ……はぁっ、國佳様なら、ぐちゃぐちゃにされたい……クリームみたいにすみれを溶かしてぇぇ……」
「今夜は帰さないわ。もちろん、すみれちゃんが溶けてなくならないよう、しっかり捕まえておきながら」
國佳もすみれも、そしてせりはも、こんな真冬にとりわけ低温の生クリームだけにまみれて汗だくだ。
すみれの生まれたてのごとく魂が好きだ。
無防備なのは肉体のみにとどまらない。まるで裸の心に、惹きつけられて離れられなくなっている。
すみれが好きかも知れない。
ゆきずりでこんな仲になって、今でこそ当たり前のように身体を重ねているが、それは國佳が情欲を満たすのと同時に、すみれを繋ぎとめておく術でもあった。
すみれは女も男も恋愛の対象にしているところがある。
もうじき受験から解放される。さすれば今より恋愛における願望も、行動範囲も広がろう。
すみれが誰かのものになる未来はいらない。
もし、すみれが國佳以外の人間と、睦まじやかになったとする。その誰かが、すみれの身体に國佳の形跡を見かければ、この繋がりは國佳の許に戻ってくるかも知れない。
無意識の深淵で、國佳は、すみれに見えない鎖を巻きつけたがっていたのだ。
「もう、國佳様とせりは、さんも、ああっ、お二人もそろそろタオル外せばどうなんですかぁぁー!!」
すみれの、ほぼ喘声と聞こえる悲鳴が大浴場に響き渡る。
一方で、國佳の胸中を得も言われぬ波紋が広がっていた。
自覚してしまったこの気持ちを、さて、どうしたものか。
第3章 Decoration cake princess─完─