不透明な男
第6章 暖と冷
俺は毎週きちんと検診に行っていた。
そして検診が終わると、翔とランチを取るのが当たり前になっていた。
翔「へぇ、お友達が見つかって良かったですね」
翔は微笑みながら言う。
智「うん、ありがと♪」
翔「て事は、何か進展ありました?」
智「うーん、それなんだけどね?」
俺は無くした携帯が気になっていた。
ニノは、アナタ携帯持ってましたよ?と言っていたし、それがあれば何か分かるんじゃ無いかと思っていた。
翔「そうですね。個人情報の宝庫ですもんねえ。」
智「でしょ?それに、仕事とかも気になるんだよね」
翔「仕事?」
智「だって、いい大人が仕事してないとか無いじゃん」
翔「確かに」
智「だったら、勤務先とかから連絡くらいあると思うんだよね」
そうですねえと翔はウンウン頷く。
智「だから探しに行こうと思って。翔くん、この間の廃墟の住所教えて?」
翔「あそこに行くんですか?」
智「だってそこしか知らないもん」
翔「では、私がお供します」
悪いからと断る俺に大きな目を更に見開いて翔が言う。
翔「また倒れるかも知れないでしょう?」
智「き、気分悪くなっただけで倒れてないもん…」
翔「大野さん!」
智「は、はい…」
もの凄い目力で押し切られた俺は、次の翔の休みに一緒に出掛ける事になった。