不透明な男
第6章 暖と冷
検診からの帰り道、顔の濃い男を見かけた場所に来た。
この間と時間帯も違うし、会えないか。と帰ろうとしたその時、背中に衝撃が走った。
バシッ
智「…ッ!?」
俺はよろめいた。
◇「…やっぱり智だ!」
智「へ…」
◇「なんで急に消えちゃったんだよ!ずっと会いたかったんだぞ!」
会えた…
顔の濃い男…
◇「なんだよ?その顔やめろって」
智「や、あの…」
俺の胸ぐらを掴んで顔を近づけて話してくる。
◇「相変わらずそんな顔して…襲って欲しいのか?」
え
何言ってんだコイツ
と、その時
「おーい、潤!」
◇「何やってんだよ、遅いじゃねえか」
「お~わりぃ、そんな怒んなって松本。」
松本潤という男はコッチを見ると満面の笑顔を放ち、俺から手を離した。
そしてすぐに寂しそうな表情を見せる。
◇「ごめんね、時間無いんだ。せっかく会えたのに…」
智「あ…」
◇「じゃあ、今度ゆっくり会おう?連絡するから!」
智「あ、それなんだけど」
◇「電話、次こそ絶対出ろよ!」
そう言うと車に乗って颯爽と行ってしまった。
や、あの…
おれの話を聞け。
連絡なんて受けられねーぞ…
俺は潤という男に何も伝える事が出来なかった。