
不透明な男
第1章 記憶の無い男
男「謝る気になったのか?お前にしては素直だな。」
胸の突起を弄りながらふっと笑う。
智「だから…それやめろ…って…」
男「だめだよ。俺を悲しませた罰だ。」
俺の耳朶をしゃぶりながら言ってのける。
智「んんっ…」
男「そうか…耳が弱点か…。」
ニヤリと笑う。
俺は身震いした。
智「あ…っ…謝るんじゃなくて…き…きたい事が…っん」
男「なんだ?」
智「お、おれの…なまえ…っふぁ…」
男「…だから…智だろ。」
智「さ…とし…それが、おれの…?」
男「だからふざけんなって!」
途端、苦しくなった。
男が絞め殺すかの様な勢いで俺を抱き締める。
智「くるし…っ」
俺をぎゅうぎゅう抱き締めながら首に噛み付いてくる。
チリッとした痛みが首を駆ける。
智「痛ッ」
男「じゃあ…俺の事、本当に分からないのか?」
智「…」
男「本当なのか…?本当に…?」
目の前の男はさっきまでとうって変わり、呆然とした表情で俺を見る。
男「なんでだよ…なんでなんだよ!」
今にも泣き出しそうな声で訴えてくる。
俺は…答えられない…。
