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不透明な男

第1章 記憶の無い男


あたたかいオーラを脱ぎ捨て男が豹変する。


男「お前は俺のものだ…何があっても離さない…!」


ようやく動きかけてきた俺の体を組伏す。
さっき熱かった掌は冷たくなっている。
その冷たい手が俺の体を這い回る。

熱を奪われた俺の体が粟立つ。


男「どうした…嫌か…?」

智「う…ぁ…」


俺に話す事を許さないとでも言うように唇を塞がれる。
荒々しく激しいキス。
手の冷たさに反して、男の舌は燃えるように熱い。

でもさっきのキスとは違う。

熱く燃えるようなキスではなく、怒りを込めたような悲しみを堪えているかのような…
激しいのにせつなくなるようなキス。

俺の口内で感情をぶつけるように舌が暴れまわる。


智「んん…!」


俺は体にのし掛かかられ、両腕を押さえ付けられている。

怒りを湛えたキスが怖かった。
逃れる術は唯一、首を捩る事だけだった。


智「ん…む…ぅ…はっ ぷはっ」


ぜぇぜぇと肩で息をする。
激しすぎるキスに魂が持って行かれそうになる。


智「ああっ」


唇を離れたかと思えば身体中に熱い舌が降りてくる。
耳の形をなぞるように丁寧に舐め、首を噛むように吸い付く。
そのまま鎖骨の窪みにむしゃぶりつく。

熱い舌に翻弄されて息があがる。


智「あっ…はぁっ…はっ…」




おれは…

男のはずだよな…

なのになんで…
男にこんなことされて反応してるんだ…?








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