テキストサイズ

不透明な男

第1章 記憶の無い男


俺をいい子だとあやし、頭をポンポンと触る。
俺の懇願を受け入れてくれず勝手に進んでくるような奴のわりに、男は優しい瞳で俺を見てくる。

熱は最奥に辿り着こうと再びぐいぐいと押し進んでくる。


智「んっ…んう…!」


強張った身体を労るかのように、男の掌は俺の背中を撫でる。


男「構えるな、力を抜け…。」

智「ん…っ、む、り…」


なんとか俺の身体を緩めようと男の手が身体を這い回る。
さわさわと優しく触れては、ゆっくりと身体を撫で回す。

俺の耳を唇で挟み、暖かい吐息を俺の脳天に伝える。


智「ん…っ…ふ」


擽ったい耳の刺激に首がすくむ。
脇腹を撫で付ける暖かい掌の感触に、身体が少し緩む。

ぐぐっ
その隙をついて、男は深く進んだ。


智「…っ! あっ…く…」


男は身体を折り曲げ俺の背中にぴたりと張り付く。
俺の前に腕を回し、ぎゅっと俺を抱き締める。

背中で感じる男の体温と、俺を抱き締める心地よい締め付けで、なぜか少し心が安らぐ。

俺の身体から力が抜ける。


男「あ…あぁ…は…っ 智…。」


荒い鼻息が俺の首の付け根を撫でる。
俺を抱き締めたまま首に顔を埋めてくる。


男「俺の…、俺のものに…」

智「んんっ…」

男「は…ぁ…智…。」


男が少し腰を引く。
そして、ぐっと押し付ける。


智「ん…っ あぅっ」


緩んだ眉間に再び皺が寄る。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ