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不透明な男

第1章 記憶の無い男


身体が強張る。

俺の後ろに当たる熱を持った塊…。
それが何を指すのか、分かる。

男の塊は既に濡れていて唾液とは違うぬめりが後ろをぐりぐりと撫でる。


智「ちょ…、まって…」


男は進んでくる事なくじっとして辺りを見回している。
諦めたのかと、少し安堵しかけた。


男「これでいいか…。」


男はベッドサイドに置かれたテーブルから何かを取ると蓋を開けた。



あれは…

ワセリン…?

あんなものどうするんだ…



智「!」


男は指に取ったワセリンを俺の後ろに塗り付けた。

それを男の塊で塗り広げ、蕾の入り口でぴたっと止まった。


智「あ…や…だ、やめて…。」


俺は懇願する。
恐怖で身体が強張る。


男「智…。」


男がせつなそうな声で俺の名前を呼ぶ。

俺の腰を掴む手に力が籠り、ぐぐっと熱を押し付けてくる。


智「あ…っ…や…!」


物凄い圧迫感に歯を食い縛る。
男の熱は、少しずつ俺に割って入ってくる。


男「は…ぁ、智…。」


俺はベッドに這いつくばって男から逃げようと身体を捩る。
しかし男は、それを許してくれない。


智「う…ぅ、く…」


少しずつ、少しずつ、ぐっぐっと侵入してくる。
俺は目を固く閉じ、歯を食い縛って耐える。

圧迫感に押し潰されそうで冷や汗が出る。

顔が冷たくなるのが分かる。


男「智…智、力を抜け。ちゃんと呼吸しろ。」


男が俺の頬をぺちぺちと叩く。


智「ふ…っ、ふ…ぅ…は…ぁ…」


意識が遠退いていた。
男の手の感覚で我に返り、呼吸をする。


男「ふ…そうだ…。いい子だよ…。」





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