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不透明な男

第1章 記憶の無い男


ど、どうしちゃったんだ…おれ…

こ…こんなの…

こんな声、なんで出るんだよ…



嫌だやめて、と懇願していた筈の俺の口から甘い息が漏れ、強張っていた俺の身体は少し緩んでいた。
頬が上気するのがわかる。


智「あ…っ、んんっ」


恐怖から逃れようと捩っていた身体は、いつの間にか体温が上がり汗が滲む。

男はガバッと俺の身体に覆い被さり、引きちぎれそうな程にシーツを握っていた俺の手をほどく。
開いた俺の掌に、男の掌が合わさる。

その俺の両手をきゅっと握ると、勢いを付けて腰を引いた。


智「んぅ!」


そして勢いよく腰を打ち付ける。


智「んああっ!」


さっきまでの緩やかな動きとうって代わり、男は激しく俺を揺さぶってくる。


智「あっ、あっあぁ…っ」


急に来た強い刺激に俺の息があがる。


智「あっあっ…ん、はぁっはっ」

男「あぁ…智っ…」


圧迫感に加え、それとは違う訳のわからない刺激が俺を襲う。
脳がジンジンと痺れ、足はピクピクと震え宙に浮く。

繋がれた手はベッドに押さえ付けられ、腰の動きを止めないまま男の唇が俺の口を塞ぐ。


智「んん…っむ…」


俺の舌を追い回す。
後ろの刺激に耐えながら俺の舌は逃げ惑う。
俺の口内を弄ぶかのように掻き回しながら舌を捕まえ吸い上げる。


智「ふ…っん、はぁっはっ」


顔を振って舌から逃れ、大きく口を開けて息をする。

キスを拒否した事への反抗なのか、俺の耳朶に噛みつく。
ぴちゃぴちゃと音を立てながら内耳を犯される。
耳の形を舌でなぞり、孔に舌を差し入れる。
舌を出し入れしては荒い息を吹き掛ける。

俺は身震いする。


智「あぁ…っん、うっうぁ…っ」


片手で俺の胸を弄り出す。
俺の尖った喉仏に吸い付く。
腰は激しく打ち付けられる。


智「も…っ、だ、めっ」


頭を振って止めてくれと男に訴える。


智「あっあ、や、やめっ」


俺はぶんぶんと頭を振る。


気が、おかしくなりそうだった。













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