不透明な男
第14章 終幕
智「あ…っ、そ、そこは」
B「ん?」
智「自分で洗うから、触らないで…」
胸や脇、腕、足と順に洗い終わり、後は熱を持った俺の中心だけだった。
そこにそっと手をかけたBを、俺は制止した。
B「大丈夫だよ、汚くなんて無いから」
智「っ、だ、だけど」
A「洗うだけだ。何もしないから安心しろ」
それは分かってるんだ。
だけど、もう触られる事に耐えられないかもしれない。
泡で身体を洗われているだけでもビクビクと跳ねた。
荒い呼吸は止まるどころか、益々荒くなってしまうんだ。
智「ほんとに、もう駄目なんだよ…。身体が言う事をきかないんだ」
B「まだ辛いのか…?」
水なのか汗なのか、俺の顎からはポタポタと雫が落ちる。
A「じゃあ…、少しだけ我慢しろ」
泡を纏った手で、俺の中心は包まれる。
智「うぁ…」
目をぎゅっと瞑り、跳ねる身体を強張らせる。
眉間に皺を寄せて、開いた口からは浅い息を吐いた。
智「だっ、駄目、やめて…っ」
B「大丈夫だから、力を抜け」
智「やっ、やだ、離し、て」
頭をプルプルと振って抵抗をする。
アイツらとは違って、その手は安心した。
だけど、いつも優しく俺に差し伸べてくれる手だからこそ、触れられたく無かったんだ。
A「熱を出さないと、いつまで経っても治まらないぞ」
智「っ、ん、だ、駄目だってば…っ、さ、触らないで…」
コイツらは俺を汚くないなんて言うけど、俺にはどうしても信じられなかった。
アイツらに反応した為にこんな身体になったんだ。
そんな汚いもの、出したくなかった。
B「…泣いてるのか?」
智「…っ、汚いんだよ、お願いだから、も、やめて…」
A「成瀬…」
だからお前はバカなんだ。
おかしな考え方ばかりするなと、優しく俺の頭を撫でる。
智「…っん、ふ」
A「汚い奴に、こんなキス出来ると思うか?」
B「薬のせいなんだ。汚いんじゃない、お前は凄く綺麗だよ…」
俺を抱きしめ慰める。
疼きをどうしても抑えたい俺の気持ちを分かってくれたのか、二人は俺の纏った泡を丁寧に流す。
その顔はとても優しく、心配そうな色を浮かべたままで。