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不透明な男

第3章 自覚の無い男


怒りの冷めやらない俺は松兄ぃを追い返しふて寝をした。

松兄ぃに激しい熱をもたらされた俺はなかなか寝付けないだろうと思っていたが、よほど体力を消耗したのか泥のようにベッドに沈み込み、いつの間にか寝てしまっていた。



ふわっと俺の頬に何かが触れる。

それは優しく俺の頬を包み込み、頭をそっと撫でる。

…とし、…智…

誰かに名前を呼ばれた。そんな気がした。




智「なんか、ヘンな夢見たな…」

翔「夢、ですか?」


検診にやって来た翔と話す。


智「うん。夢なのかな?なんだったんだろ。」

翔「貴方が分からないんじゃ、僕にも分からないですよ」

智「だよねぇ…」


翔はいつものように聴診器を取り出す。


翔「…また、虫に刺されましたか?」

智「えっ、あ、うん」

翔「こんなに沢山…」

智「そ、そうなんだよ、もう痒くてたまんないよ」

翔「悪い虫が居たもんですね…」


翔は俺の胸元に付けられた紅い跡をじっと見ていた。

心なしか、怒ったような、少し怖い、そんな顔をしているように見えた。




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