
不透明な男
第4章 探す男
智「…へ?」
俺は振り向く。
小柄な男が走り寄ってくるのが見える。
○「久しぶり!」
その男は俺を見てニコッと笑う。
智「あ、あぁ、久しぶり…」
○「?どしたの?顔ヘンだよ?」
智「へ」
○「プッ、相変わらずボーッとしてるんだから」
失礼極まりないこの男は、子憎たらしい口調とは裏腹に可愛らしい笑顔で俺を見てくる。
○「どしたのさ。ほんとにヘンだよ?」
大丈夫なの?と俺の肩を組み、指で顎をクイッと持ち上げ俺の顔をまじまじと覗き込む。
○「俺、アナタに会いたくてあのバーに通い詰めてるのに最近ちっとも来ないんだもん。」
智「バー?」
○「うん。そしたらこんな所でふらふらしてるからさぁ。」
智「あ、あぁ、うん」
○「顔も出さないで今まで何やってたのよ?」
智「あ~、えっと、に、入院してた…」
○「はっ?」
俺は、こんな大事な事を簡単に話してもいいものだろうかと一瞬悩んだが、なんだかこの男は信用出来る。そう思った。
それで、事の経緯をこの男に話して聞かせた。
○「えっ…て事は、俺の事も覚えてないの?」
智「う、うん」
○「ええ!なんだよそれ!」
智「ご、ごめん」
○「んも~なんだよそれ、ボケるのは顔だけにしてよね~」
ほんとにも~たまんないよ、とか失礼な事を言いまくり俺の肩をギュッと掴む。
○「俺は二宮和也、アナタは俺の事ニノって呼んでたよ。」
智「ニノ…」
和「そう、ニノ」
ニノはふふっと微笑むと、これは調教し甲斐があるなぁ~なんて楽しそうに笑っていた。
