霧島さん
第6章 霧島さんと先生
私は、体を起こして彼の首に腕を回し、驚きで小さく開いた唇に、自分の唇をゆっくりと重ねた。
…情け無い。唇が震えてる。
自分からキスをするのなんて初めてで、ドキドキする。自分からするキスって、こんなに緊張するものなのかな。
それとも、相手が蛍だから?
蛍もすっかり固まってしまって、されるがままの状態だ。
「蛍、」
「ん、」
そして更に強く唇を押さえつけ、小さく、そして何度も啄むキスをすると、蛍の手が背中を回って私を抱きしめてくれた。
「…名前を呼ばれることがこんなに嬉しいなんて初めて知った」
キスの合間に、蛍が嬉しそうに笑う。
その笑顔にキュウ、と愛しさで胸が締め付けられ、自分の顔もゆるゆるなのがわかる。
「でも、筧のことムカつくにはムカつくから今日は手加減なしですけどね」
と、にこやかな顔のまま発せられた言葉は、私をギョッとさせるのに十分なもので、「手加減!?」と思わず叫んでしまう。
いやいや、今まで手加減していたの…!?あれで!?!
日を跨いで朝日が昇るまで攻め続けられた今までのことを思い出して、冷や汗が伝う。
「はい、倒します」
「!」
焦る私を他所に、楽しそうにそう言いながら押し倒され、上の服も慣れた動きで脱がされる。
ブラをいつもつけない私の体を纏うのはパンツのみで、体を掠める空気が生々しくて恥ずかしい。
「まっ、待って、私、今日死なない?」
「死なないで」
ふはっと吹き出して笑った蛍が、私の頰にキスをしてそこを優しく撫ぜる。
「ーー…まあ、全身触られてるみたいだから、あんまり保証はできないけど」
「え…?ひゃっ!?」
すると突然指でツウッと胸の谷間をなぞられ、焦れったいその刺激に体が跳ねる。
ま、まさか…。
「筧がどこを触ってても関係ないくらい、全部俺が消毒するから」
どうやら、筧さんはとんでもない爆弾を複数つけていたようだ。
「明日は一緒に家でごろごろしようか」
ーーー…。
私は、そんな蛍の笑顔に固い笑顔を返し、今から始まる甘い地獄を覚悟した。