霧島さん
第6章 霧島さんと先生
「し、志月さん。ご、ごめ、アッ」
意味はなくとも、言い訳がましくなったとしても、謝りたい。
そう思って口を開こうとするも、また別のところに吸い付かれ、吸い付かれ、吸い付かれ…。彼が満足した頃には、謝ることもできず、私はすっかり疲れ切っていた。
「なんで…」
謝らせないの?
もしかして、呆れてしまった?
そんな心の中の不安を読み取ったかのように、彼が軽く唇にキスを落とす。
「ハナが謝る必要はないよ」
そしてふわりと笑ったその表情があまりに優しくて、どうして。という言葉が頭を支配する。
「で、でも」
「謝らないで。確かに筧がハナに触ったのはすごく腹立たしいけど、初めに突き放したのは俺だし、筧がどんな手を使ってハナに触れたのもわかってるから」
「、」
「謝るのは俺の方なんだよ。あんなに他人が怖かったハナがあいつに触らせるくらい、追い詰めてしまったんだよな」
ごめんね。と抱きしめられ、涙がぶわりと浮かぶ。
ーーー好きだ。この人が好き。
もう、口にしないと破裂してしまいそうだ。
「ケイ……好き。どうしよう。好きすぎて苦しい」
「え、ハナ?ていうか今名前、」
驚いた声を上げた彼に更に抱きついて、好きだと何度も伝える。
どうしよう。今私、どうしようもないくらい彼に触って欲しい。