霧島さん
第7章 本当の君と、
蛍の薄い唇が食むようにして私の唇を覆う。何度も角度を変えて交る度、お互いの熱が高まっていく。
彼の、普段の飄々とした性格からは想像できないほど、激しく求めてくるこのキスが好きだ。
「ん、」
「舌出して」
恥ずかしい、そんなの。と頭の中では抗うのに、蛍の低く、落ち着いたその声に、体が自然と従順してしまう。
舌先を少しだけだすと、蛍は瞳を細めて笑い、自分の熱い舌先と絡め、唇で食んだ。
チュルリと生々しい音が脳まで届いて、電流が流れたように痺れると私の思考を奪って行く。
「は…ッんん…っ、」
キスの合間にも、蛍の手は胸元へ降りていき、エプロンと肌の隙間から手を差し込むと直接膨らみに触れた。
「なんか今日、いつもより鼓動が早い?」
「っき、聞かないでいい、です、」
自分でもわかっていただけに、そう直接言われると恥ずかしい。今すぐ暴れる心臓を取り押さえたい衝動に駆られてしまう。
「嬉しいよ、それだけドキドキしてくれてるんでしょ?」
「、」
「あ、また早くなった」
「からかってます!?」
カッと熱くなった顔を見られたくなくて軽く蛍の肩を押しのけると、「ごめんね」とそんなこと微塵も思ってなさそうな緩い表情でそのまま手首を掴まれ、引きよせられる。
スッポリと収まった場所は彼の腕の中で、耳に当たったそこは、ドクドクと急くように激しく脈打っていた。
「からかってないよ。同じだから嬉しくなっただけ」
あ、…、確かに、心なしか直接触れているこの体温も、いつもより高い気がする…。