霧島さん
第8章 お付き合い
「、」
「こんなに本気で愛しいと思える人は初めてで、正直戸惑ってる。こういう時上手く言えないし、大事にする方法だってわからないかもしれない。
けど、ずっとハナと一緒に居たいって、本気で思う」
撫でられた目尻が熱くなって、視界が霞む。頷くと、その反動で涙がパラパラと落ちた。
「好きだよ、ハナ」
私も好き。
掠れた声でなんとか言葉を紡ぐ。ちゃんと言葉になっていなかったけれど、蛍はちゃんと聞き取ってくれた。
「はーー…っ良かった…本当はちょっとドキドキしてた」
と、深い息を吐いてベッドに顔を埋めた蛍。
なんだか、この1日で色んな蛍を見れている気がする。
こんな風に余裕がなくて、不安そうな蛍は初めて見た。こうやって、一緒に過ごしていくうちに蛍を知っていきたい。
「ーーと!あともう1つ提案があるんだった」
「…?」
と、思い出したように勢いよく顔を上げた蛍が、ガバッと私の手を掴む。
さっきまで顔を埋めていたから、前髪が後ろに跳ねていて可愛い。
「引っ越ししよう、ハナ」
ーーなんて呑気に考えていたら、真剣な声で蛍にそう言われ、思わず瞬きを繰り返した。
「この場所は危険だと思う。いつ霧島先生が帰ってくるかわからない。多分、俺とのことがばれたらきっとーー…」
その先は言わずともわかった。
蛍と少し話をしただけで激怒し、私の首を絞めた先生を思い出してゾクリとする。
今度は首を締めるだけでは留まらないかもしれないーーー…。