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霧島さん

第2章 お久しぶりです、霧島さん




―――コンコン、




意識が途切れる、と思った刹那。一定のリズムで叩かれたその音で、私の意識ははっと引き戻された。




――隣から、だ。



「あ、…ハナ、」



その音で先生もはっとしたらしい。悲痛で歪めた顔で、ゆっくりと手を離してくれた。



助かったと、心底ほっとする。



「はっ…ッはっごほっごほっ!!」


「――――…、」




やっと酸素が吸える状態になったけれど、まだ首を絞められている感覚が抜けない。



自分の体が小刻みに震えているのがわかる。
怖い、なんて思いたくないのに。



「ハナ、悪い。悪かった、」



先生は震える私の体を優しく抱き上げて、そのまま強く抱きしめてくれた。




首を絞めていたその手が、いつもの手に戻ったのだとやっと安心する。



「けど…窓は塞ぐ。もう隣の奴とは関わらないでくれ」




私はその言葉にせき込みながらも強く頷いた。



先生の不安を取り除けるのなら、そんなものなくていい。



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