霧島さん
第2章 お久しぶりです、霧島さん
ガチャンッ
鍵を外す大きな音に、はっとして目が覚めた。
もうそんな時間なのか、と慌てて携帯を見ると、一件の新着メールのお知らせが来ていて。
アドレス帳にたった一つの名前しかないんだから、確認せずとも誰だかわかる。
がちゃりっ、カチャンッ…
今、あの厳重に閉ざされた扉を開けようとしているのも。
私は急いで髪をてぐしでまとめ、玄関へ向かう。時刻は夕方の4時。待ちに待った時間。
ガチャ、
最後のカギが開いたのを確認して、ドキンドキンと高鳴る胸をきゅっと抑える。
そして、開いた扉からその人が見えた瞬間、私はその体に思いっきり抱き着いた。
「会いたかった―――…」
「、相変わらずお熱いお出迎えだな」
その人は小さく笑って、飛びついたにも関わらずしっかりと抱きとめ、力強く胸の中に閉じ込めてくれた。
――ああ、久しぶりに感じるこの人の熱が、気持ちいい。
「ハナ」
この優しい声で私の名前を呼んでくれるのが、好きだ。
私は彼の呼びかけに応え、そっと顔を上げる。
「ハナ」、と呼んでくれたその声は優しかったのに、顔を上げた瞬間、息をつく暇もないほど、彼は強引に私の呼吸を奪った。
「ンッ」