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最後の恋

第4章 おでかけ


初めてのデートは、スケートに行った。

桜の咲く季節だったけれど、室内のスケート場だったから、気にせずスケートを楽しめた。

私はスケートをしたのは小学生以来で、ほとんど初体験も同然で、とても怖かった。

彼と手を繋ぐのは初めてではなかった。習い事の教室で、手に触れる機会はあった。

でも、足場のしっかりした教室とは違って、氷の上で握る彼の手はまた違ったものに思えた。

彼の他に頼るものがいない、すがりつきたくなるような、そんな気持ちにさせられた。

スケートはほとんど経験がないから怖いです。

そう言った私に、彼は、転ばせないよ、と豪語した。その言に違わず、彼は何度も転びそうになる私を抱き止めてくれた。

吊り橋効果というものが本当にあるとすれば、確かに私には作用していたようだ。

でも彼には言わなかったけど、本当は、スケートに誘われたときから、滑れない私は彼にしがみつく他ないことはわかっていた。

わかっていながらその誘いに応えたのは、もっと初めから、彼と話したその時から、

ああ、この人に触れてみたいと、私の奥底のもう一人の私が、そう思っていたからではないか。

何ともあさましい自分の気持ちを、今更ながらに感じている今、

彼とこんな関係になったのも、きっとどこかで私が望んでいたからなんだと、情けないけれど、今なら認めることができる。

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