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最後の恋

第6章 くちづけのさき

彼の家の台所でグラスを洗っていると、彼が背後に立った。
大丈夫ですよ、と言うと、うん、でもちょっかい出しに来た、と彼はいたずらっ子のように、後ろから私を抱きすくめた。

くすぐったくて私は首をすくめ、グラス割っちゃいますよ、とたしなめた。
安いから大丈夫、と言って、彼は愛撫の手を止めない。
肩の丸みを撫で回す手が、鎖骨に沿って前に回り、カットソーの上から胸の膨らみを包み込む。

だって割れたら危ないですよ、と抗議する私の手は、いつしか止まっていた。
安いグラスは落としても割れないんだよ、と彼は不敵に笑って、振り向きかけた私の顎を掴み、後ろから身を乗り出すようにくちづけた。
ぬるりと侵入する舌に、ぞくりと背筋が震えて、濡れた指先からグラスがシンクに落ちた。

ゴトリ、と鈍い音がしたが、割れた気配はない。
あ、本当に割れないんだ、と頭の片隅で思った瞬間、唇が離れた。
息をついたのも束の間、彼の手が素早くスカートをたくしあげ、下着とストッキングを一緒に引き下ろし、びっくりして息が止まる。

さすがに恥ずかしくて、向き直ろうとするが、強く抱きすくめられて身動きがとれない。
素肌の太ももを這いのぼった指が、むき出しのそこに触れ、ぬるり、と滑った。
ああ、濡れてる、と彼が囁く。その言葉によりさらに、体が火照る。

背中の向こうで彼がもぞりと動いて、小さな衣擦れの音。熱い潤みをたたえたそこに、一層の熱をもった彼が侵入した。
私はぎゅっと目を閉じて、シンクの縁を掴む。
腰、もっと上げて。
片手でももを押し広げ、もう片方の手でカットソーをたくしあげながら、彼が囁く。
恥も外聞もなく、私はつま先立ちになるように腰を上げた。彼が深く入ってくる。

肌と肌がぶつかる音、それはまさに、昔見たアダルトと名の付くビデオで聞いた音と同じで、それが今自分に起きていることが、にわかに信じられなくなった。
でも薄目を開くと目の前の銀のやかんの表面に、後ろから貫かれて喘ぐ自分が映っていて、紛れもない現実に頭がふらつく。

あっ…と小さく悲鳴を上げて、がくりと床に落ち込んだ私を、彼は軽々と抱き上げて、続きのベッドルームに運び込み、そっとベッドに下ろした。
ごめん、いじめすぎたね、と彼は苦笑して言ったが、でもその続きは朝まで容赦なかった。

グラスは割れなかったけれど、彼の腕の中で、私はぐちゃぐちゃになった。
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