最後の恋
第6章 くちづけのさき
初めて彼と夜を過ごしたのは、6月のことだった。
うっかり終電を逃し、あいにくビジネスホテルも空いてなく、カラオケやファミレスで夜明かしするほど若くなかった。
だから「仕方なく」そういうホテルに泊まり、そういうことになった。
そんな言い訳にもならない言い訳をしながら、結局そうなることを望んでいたのだろう。
ラブホテルに泊まるのは初めてで、動揺から内装はあまり覚えていないけど、
エレベーターの赤い照明があからさまにいかがわしい雰囲気を醸していて、二人で思わず顔を見合わせて笑ったことは印象的だった。
彼に背を向けて眠ろうとしたが、さすがにそれは許してもらえず、彼の腕は私を後ろから抱きしめ、ゆるい寝着の紐をほどきにかかった。
その手を止めようと首を振った私をこちらに向かせ、彼はいつもより激しいキスをした。
お願いだから。
そう言った彼の目がとても悲しそうで、そんな目をさせていることにもっと悲しくなって、私はゆっくり目を閉じた。
ごめんなさい。
そう言って、彼の手を押し止めていた腕を、彼の背に回し、自分から彼にくちづけた。
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