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Face or Body

第17章 過去と今の交錯

海浜署の留置場

ヒロキのもとに
ヒカルが訪れた。

ヒカルはデーブとともに
ヒロキに今までの捜査の話をした。

『…ということは、俺が殺してしまったと思っていたマサは生きてたんですか?』
とヒロキは
ヒカルとデーブに尋ねた。

『山里さん、あんなホントに山里をやったと思い込んでるんだけなんじゃねえかな?』
とデーブは
ヒロキの目をみつめて言った。

『でもあの路上の血痕みたら…。』
とヒロキは答えた。

『マサなる人物になぜ、そんな行為をしてしまったんですか?まだ、動機を具体的に話してくださらない状態ですよね?』
ヒカルは
眼鏡の奥から瞳を光らせて
ヒロキに問いかけた。

『………………………。』
ヒロキは沈黙する。

ヒカルは意を決して
ヒロキに話しかけた。

『私…、エリカちゃんに謝らないと行けません。』

―――………!!

ヒロキの表情が変わるのが
明らかだった。

『―――………… エリカ。 娘をご存じなんですか?』

ヒロキは
なんでこの女刑事が
すでに離ればなれで暮らす娘を
知っているのか?
理解できないという表情で
ヒカルを見つめた。

『実は3年前の海浜市婦人拉致暴行事件。犯人を確保したのは私です…』
とヒカルは
ヒロキにそう答えた。

そして
その現場に突入する直前に

『お姉ちゃんは、これでもお巡りさんなんだよ!! 絶対にママを助けてあげる!!』
とエリカちゃんに
話しかけ約束したことを
ヒロキに伝えた。


『ただ… 私とこの東三条さんが、現場にとつにゅうしたときにはすでに…』
とヒカルが口ごもったとき

『すでに美咲…妻は、あの石渡に犯されてしまっていた…。 というわけですか?』
とヒロキが
小刻みに拳を震わせて
問い返した…。

『ええ… エリカちゃんとの約束を果たせなかった…。』
ヒカルも
悔しさを思い出して
ヒロキと同じように
拳をギッっと握りしめた。

取調室に沈黙が流れた…。

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