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Face or Body

第57章 違和感…

身体の状態が回復したヒカルに
捜査本部から
事情聴取が始まった。

しかし
拉致監禁後の暴行を受けて以降の
事情聴取になると
ヒカルは時折
パニック状態になった……。


――――…………
『それだけ精神的なトラウマを持つことになったってことか……。』
各務は
有能な部下が粉々に破壊された
怒りに似た無念さが籠った声で
呟いた…………。

『俺は悲しいっす!!あんなにしなやかで強かったヒカルさんが………』
機動捜査係で何度もコンビをくみ
ヒカルの相棒と自負していたサトルが
声を絞り出した………。

その日
ヒカルから辞表が提出された…。

現職の女性警察官が
勤務時間外に拉致され監禁されたうえ
レイプされ
その状況を記録したDVDが
出回ってしまった事件は
対面を重視する警察権力により
闇に葬られようとしていた。

それゆえに
ヒカルからの辞表は
警察という組織には
渡りに船の出来事だった……。

結果的に
ヒカルが拉致監禁された事件は
その真相が
曖昧のまま蓋をされつつあった…。

サクラコは
重苦しい空気の本部を飛び出した。
県警本部の玄関まで走ると
アキラに寄り添われて
警察を立ち去るヒカルの背中が見えた。

『ヒカル!!待ちなさいよ!!』
サクラコは自然にそう叫んでいた。

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